伏線書庫叡智の書

動画の解説 ― 台本を、読める形で。

まとめ

【リゼロ4期まとめ】回収された伏線と残された謎|なぜルイは実体化できたのか

ネタバレ注意:アニメ4期(奪還編8話まで)と、アニメでカットされた原作第六章の描写までの内容を含みます。
本文を開く第六章まで読んだ・見た人向け 本文をたたむ

4期完結

リゼロ4期、完結しました。ライを倒しました。ロイを封じました。塔は、踏破されました。なのに。レムの記憶は、戻っていません。

それどころか最終回、新しい謎が増えて終わりましたよね。どこともしれない草原。実体を持って現れたルイ。そして、目を覚ましたレムの第一声。「――あなたは、だれ、ですか?」

今回は4期の総まとめです。回収された伏線の答え合わせと、残された謎の整理。そして今期の主役だった、あの三兄妹の考察をやります。

4期のおさらい

まず、4期がどういう話だったか。駆け足でおさらいします。

4期は、原作だと第六章にあたります。目的は、プリステラで奪われたものを取り戻すこと。眠り続けるレム。名前を奪われたユリウス。記憶を奪われたクルシュさん。手がかりを求めて、スバルたちは世界の東の果てへ向かいました。

アウグリア砂丘、プレアデス監視塔。賢者が住むとされる、剣聖ラインハルトでも辿り着けなかった場所です。砂丘は死の連続でした。方向感覚を狂わせる瘴気、魔獣の群れ、そして塔から飛んでくる謎の白い光。何度も死に戻りながら、スバルたちは塔に辿り着きます。

そこにいたのは、賢者ではありませんでした。スバルをお師様と呼ぶ、星番シャウラ。塔の正体は、大図書館プレイアデス。各階層に試験が置かれ、全部突破すれば書庫の知識が手に入る。ここから塔攻略が始まります。

三層の試験は、スバルが星の知識で突破。しかし書庫にあったのは、死者の生前を追体験する死者の書でした。二層の試験官は、400年前に死んだはずの初代剣聖、レイド・アストレア。エミリアだけが突破し、ユリウスは完敗します。

そしてここから、喪失編の本題が始まりました。スバルが、異世界に来てからの一年分の記憶を失います。仲間の信頼を失い、螺旋階段から突き落とされ、ついには塔じゅうの死体を発見し、メィリィの死の犯人にされる。誰が殺したのか。誰が突き落としたのか。誰が記憶を奪ったのか。疑心暗鬼の殺人ミステリーが、喪失編の後半でした。

奪還編は、その答え合わせから始まります。犯人の正体は、このあとまとめて答え合わせします。

スバルは記憶の回廊で、ある声に立ち上がり、強欲の権能、コル・レオニスに目覚めます。同時に、砂丘じゅうの魔獣が塔に殺到。魔獣の群れ、暴食、巨大サソリ、レイド、そして正体不明の黒い影。五つの障害との総力戦が始まりました。

スバルは十数回の死を、カウントとして積み重ね、最後に書庫で、自分自身の死者の書を見つけます。全部の死を追体験した先で、記憶を持つナツキ・スバルと統合。内側に寄生していた犯人を、弾き出しました。

ここからは反撃です。エミリアは、スバルの姿をした氷の兵隊さんを引き連れて、最上層へ。個人的に、アニメで氷の兵隊が動いたのは最高でした。

一層では、エミリアが神龍ボルカニカの試験に挑みます。二層では、ユリウスが準精霊と契約を結び直し、最優の騎士として、レイドの眼帯を撃ち抜きました。四層では、ラムがライ・バテンカイトスを討つ。塔の外では、暴走した巨大サソリを、スバルたちが止めました。

そして400年、お師様を待ち続けたシャウラは、「――お師様、愛してるッス」。この言葉を残して、塵に還ります。

塔は踏破され、エミリアが新しい管理者になりました。エミリアの名前は全員に戻った。でも、ユリウスの名前と、レムの記憶は戻らなかった。

そして最終回のラスト。肉体を持たないはずのルイが、実体を持って現れ、黒い影が塔を呑み、スバルはレムとルイごと、見知らぬ草原へ。目を覚ましたレムに、「あなたはだれですか」と問われ、「俺は、お前の英雄だ」と答えて4期は幕を閉じました。

……それにしても、目を覚ましたレム、めちゃくちゃかわいかったですね。

……という章でした。勝ったのに、一番取り戻したかったものが戻っていない。この据わりの悪さが、4期の終わり方です。

回収された伏線8

ここから答え合わせです。4期のなかで張られて、4期のなかで回収された伏線を8本、一気にいきます。

①螺旋階段の突き落とし犯。

答えはメィリィでした。喪失編で二度スバルを落とした犯人が、奪還編1話で現行犯逮捕。動機ごと開示されて、スバルは彼女を殺さず、仲間にしました。ちなみにメィリィを殺したのは、記憶を失っていたスバル自身でした。

②砂丘の白い光と、巨大サソリの正体。

どっちもシャウラでした。砂丘でスバルたちを全滅させた狙撃も、塔の決戦で現れた大サソリも、近付く者を排除するという、星番の役目そのものだった。

③スバルの記憶を奪った犯人。

ルイ・アルネブ。喪失編最大の謎だった犯人が、記憶の回廊で本人登場。目的まで含めて、5話で全面開示されました。

④「立ちなさい」の声。

記憶の回廊でスバルを立ち上がらせた声は、レムでした。眠り姫は眠ったまま、一番大事な場面でスバルを支えた。そしてこの声が、コル・レオニス覚醒の引き金になります。

⑤ラムの雪解けの比喩。

奪還編1話でラムはこう言いました。「それは冷たい雪に埋もれた花のように、雪解けの季節が訪れれば姿を見せる」。記憶を失ったスバルに向けた言葉です。

そして5話、二人のスバルが統合した瞬間、「ラムが言ってたな。雪解けの季節になったら、見えなくなったものがちゃんと見えて、顔を出すはずだからって」

1話で張って、5話で成就。奪還編のなかで完結した、一番きれいな伏線でした。

⑥五つ目のルール。

シャウラが数えた塔のルールは四つまで。でも喪失編の時点で、アナスタシアさんだけが、ルールは五つあるんじゃないかと、見抜いていました。

答えは4話。五つ目は、「試験の破壊を禁ぜず」。唯一の、破ってもいいルールでした。

シャウラがこれを隠した理由が、また泣けるんですよね。これを話したら攻略が終わって、お師様との時間が終わってしまうから。

⑦ラムの枷と、角と、杖。

ラムが全力を出せなかった理由は、自分に課した枷。十年ぶりにそれを外し、折れた角の代わりだった杖が砕け、レムとの共感覚で角を再活性させて、ライを討ちました。日蝕と月蝕、暴食の権能の仕組みが明かされたのも、この戦いです。

⑧一層の試験の突破条件。

最後の試験は、ボルカニカに志を問われること。「――問わん。なんじの、志は!」「――みんな、仲良くして!!」

この答えで試験は突破。塔のルールごと書き換わりました。……ただ、なんであの答えで通ったのかは、実は原作も説明していません。ここは別の動画でやりたいので、今日は置いておきます。

以上、答え合わせ8本でした。喪失編で張った謎を奪還編で刈り取る、見事な前後編だったと思います。

暴食三兄妹の謎

さて、ここからが本題です。

4期は、言ってしまえば暴食の章でした。ライ・バテンカイトス。ロイ・アルファルド。ルイ・アルネブ。魔女教大罪司教、暴食担当の三兄妹。レムを眠らせ、ユリウスの名前を奪い、スバルの記憶を奪った、全ての元凶。その三人が、三人とも今期で退場しました。

でも気付いてましたか。この三人、一人に一つずつ、謎を残していったんです。

ライは、誰のものか分からない声を残した。ロイは、誰も答えを言わない罪を残した。ルイは、ありえないはずの体を残した。

ここから一人ずつ、いきます。

ライが残した声

一人目。長男、ライ・バテンカイトス。

まず、小さいほうの答え合わせから。7話の血文字です。自分の腕を斬り飛ばして壁に書き、首が飛ぶ瞬間までこう言いかけていた。

「あァ、愛して――」

内容は、アニメでも原作でも伏せられたまま。ただ放送のあと、作者の長月先生が実況で、「リゼロにおける愛の告白が何かは、皆さんご承知の通り」と実質の答え合わせをしています。

血文字は、「愛してる」。7話の解説動画で出した推理の通りでした。

で、本命はここからです。ライにはもう一つ、誰も答えを知らない声の謎があります。

喪失編9話。記憶を失ったスバルが、何者かに首をはねられた夜です。聞いたことのない声で、誰かが笑って、こう言いました。「――次、当ててみなよ、英雄」

この声の主、原作六章が終わっても明かされていません。

でも、あの声。――レムの声でしたよね。記憶を失ったスバルにとって、レムの声は、まさに聞いたことのない声です。

そして7話。ライが日蝕でレムに化けたとき、声までレムだった。さらに原作66話。ライはスバルを、「俺たちの英雄」だと言い切っています。その想いの出所は、やつが取り込んだレムの想いだと、地の文がはっきり書いています。

声の演出と、二つの地の文。重ねて、私はこう読んでいます。あの夜、スバルを英雄と呼んだ声は――ライのなかの、レム。

壁に書かれた読めない文字と、闇から聞こえた知らない声。ライは4期に、二つの声を残していった男でした。

塔のルールを破った犯人

二人目。次男、ロイ・アルファルド。

こっちの謎は、気付いていない人も多いかもしれません。シャウラが大サソリに変貌する条件、覚えてますか。誰かが、塔のルールを破ることです。

じゃあ聞きます。誰が、どのルールを破ったんでしょう。アニメは最後まで言いませんでした。そして実は、原作も言っていません。六章が終わっても、です。

考えてみると変なんですよ。試験を壊したから? 違います。五つ目のルールは、「試験の破壊を禁ぜず」。壊すのはセーフです。塔を壊したから? 魔獣が入ってきたから? 候補はいくつもあるのに、本文はどれとも言わない。

この答えも、放送実況で作者本人が明かしています。「今回のルール破りの最たるものは、ロイ・アルファルドによるレイドの乗っ取り。本来出られない場所から、レイドを連れ出したことは、立派なルール違反である」――と。

つまり犯人は、ロイでした。

6話を思い出してください。レイドが400年後の塔にいられた仕組み。ロイが初代剣聖の魂に触れて、自分の体を乗っ取らせていたからでしたよね。でも、規格外の魂に器が耐えられなかった。「結局のとこ、アレだ。オレって人間はオレ以外の器に収まり切らねえってこった」

あの退場の裏で、ロイの行為そのものが、塔のルールを踏み抜いていた。シャウラを暴走させた犯人も、暴食だったわけです。

整理すると、こうなります。ユリウスがレイドを打ち破るのはセーフ。試験は壊していい。ロイが試験官を持ち出すのはアウト。挑む者には優しく、ズルには星番のハサミが落ちる。フリューゲルのルール設計、よくできてます。

作者の言い方は、「ルール破りの最たるもの」。少なくとも主犯は、ロイです。

ルイはなぜ実体化したのか

そして三人目。末の妹、ルイ・アルネブ。

ここだけは、答え合わせがありません。ここからは自説です。

最終回のあのシーン。緑部屋に光が溢れて、床の上にルイが現れました。おかしいんですよ、これ。

ルイは魔女因子と魂が結び付いただけの存在で、肉体を持ちません。生まれたときから記憶の回廊にいて、外に出られない。だから兄たちの獲物から、つまみ食いするしかなかった。これは、アニメ5話でカットされた、原作75話のルイの語りです。

肉体のない存在が、なぜ体を持って現れたのか。アニメは何も説明しません。でも原作90話には、アニメがカットした手がかりが一つあるんです。ルイが現れたのと同時に、緑部屋で起きていたこと。

「――部屋の治癒の効果が切れてる。精霊が、いなくなったのよ」(六章90話)

緑部屋の精霊の、消失です。みんなの回復部屋だった緑部屋には、元々、精霊が住んでいました。姿は見えず、意思らしい意思もなく、入った生き物の傷を癒そうとするだけの精霊。その精霊が、ルイの出現と同時に消えた。

ラムはこう言います。「だとしたら、あの大罪司教と無関係ではないでしょうね」

原作が言うのはここまでです。因果は書かれていません。なので、ここから先が私の説です。

ルイは、緑部屋の精霊を素体にして受肉した。

根拠は、作中に対照実験があることです。

ロイは、レイドの魂に、自分の体を明け渡しました。結果は、さっき見た通り。崩壊です。レイドの言葉を借りれば、「オレ以外の器には収まり切らない」。ロイの体は、ロイという先客のいる、他人の器でした。

一方のルイ。魂と因子だけの存在が入り込んだ先は、意思もない、誰のものでもない精霊の器。

先客のいる器は弾け、誰のものでもない器は収まった。受肉の成否を分けたのは、器に先客がいるかどうか。同じ章のなかに、成功例と失敗例が並べて置いてあるんです。

誰のものでもない器だから、収まった

これが、肉体のないルイが、実体を持てた仕組みだと考えています。

ただし、器の問題が解けても、もう一つ残るんです。中身の問題です。

「――記憶が人を形作るんだよ、お兄さん」

ルイ自身の理論です。彼女の人格は、他人の記憶のつまみ食いで、組み上がったものでした。そして記憶の回廊では、スバルから弾き出されたルイと、回廊のルイが争って、原作いわく、勝者のいない争いに終わっています。

勝者のいない争いの果てに、精霊の器へ入ったのは、何なのか。あの体のなかで、ルイの人格は無事なのか。彼女は敵のままなのか、それとも――別の何かとして目を覚ますのか。

そこから先は、原作のこの先の話なので、今日はここまでにします。考察は以上。

4期が残した謎

最後に、4期が残していった謎を整理して終わります。

①ライを倒したのに、なぜレムの記憶は戻らなかったのか。

さっき見た通り、食われたレムは、ライのなかに確かにいました。なのに、ライが死んでもレムは戻らなかった。

対照的なのが、ユリウスです。ユリウスの名前を食ったのは、ロイ。「厳密には、私の名前は彼に奪われたモノだ。だから、まだ戻らないのだと思う」

食った本人が封印されて生きているから、戻らない。筋は通ります。じゃあ、レムは? 食ったライは、もう死んでいるのに。

原作が出すのは、ラムの仮説だけです。食われたものは消化されていて、戻るのに時間がかかるだけかもしれない、と。倒せば返ってくる、ではなかった。

レムの記憶は今、どこにあるのか。4期最大の宿題です。

②ボルカニカは、なぜ壊れているのか。

エミリアが手形に手を合わせたあと、一瞬正気に戻りましたよね。フリューゲル、レイド、シャウラ、ファルセイル。400年前の名前を並べて、エミリアを、こう呼びました。「何かあれば話せ。なんじの憂いなら、われが取り除こう、――サテラ」

サテラを封じた張本人のはずの神龍が、親しげに、その名前を。そして嫉妬の魔女という言葉を聞いた瞬間に、豹変して襲いかかり、最後はまた、同じ口上に戻ってしまった。

なぜ神龍は壊れているのか。なぜエミリアを、親しげにサテラと呼んだのか。原作六章のなかでは、どちらも一切明かされません。

③シャウラが400年待った、お師様とは誰なのか。

賢者フリューゲル。名前だけで、本人は一度も出てきていません。この謎については、すでに考察動画を一本出しています。フリューゲルの正体を扱った回です。

④あの草原はどこなのか。

なぜ飛ばされたのかも、六章の本文は語っていません。監視塔が、どの方角にも見えない場所。そしてレムは、記憶がないまま目を覚ました。

六つの手形

⑤そして――六つの手形。

最上層のモノリスに並んでいた、六つの手形。エミリアが手を合わせて試験を突破した、あれです。

そして最終回、とんでもないものが映ってましたよね。六つのうちの一つが――エミリアの手と、そっくりだった。400年前からある石に、なぜエミリアと同じ形の手があるのか。アニメは、何も説明しません。

さらに原作87話には、アニメがカットした情報もあります。六つのうち、端の二つだけが小さい。女性の手なんです。あの石には、六人の内訳のヒントが刻まれている。

そしてもう一つ。六連星漫遊記をはじめ、公式のミニアニメは見ていますか。YouTubeで見られる外伝です。ああいう外伝で描かれているのが、400年前の旅の光景です。レイドがいて、シャウラがいて、そして――荒れ地のホーシン、アレク・ホーシン。会話のなかには、サテラの名前と、かか様と呼ばれる誰かまで出てきます。

400年前の旅の面々と、モノリスに残された六つの手形。……役者、揃ってきてませんか?

この突き合わせは情報量が多すぎるので、次の動画で丸ごと一本やります。次回は原作とミニアニメ、外伝の公式情報に踏み込むので、ネタバレを避けたい方はご注意ください。先にミニアニメを見ておくと、次回が倍楽しくなるはずです。

続きは資料室で

まとめます。

4期は、暴食の三兄妹が、三つの謎を置いていった章でした。

ライが残した二つの声。血文字は「愛してる」、英雄と呼んだ声は、なかのレム。塔のルールを破った犯人は、ロイ。これも作者が明かしています。ルイの実体化は、精霊を素体にした生まれ直し。これは私の説です。

そして、レムの記憶という一番の宿題は、原作の続きに持ち越されました。

この先どうなるのか、気になった方へ。資料室に、リゼロの原作小説やコミックスなど、関連商品をまとめています。レムの記憶のゆくえも、ルイのその後も、続きは原作で読めます。気になった謎から、手に取ってみてください。

原作:長月達平『Re:ゼロから始める異世界生活』(小説家になろう/MF文庫J・KADOKAWA)。 本文中の原作の引用は、考察・批評を目的とした引用です。

この説に、台帳の根拠で反論・補強してみませんか。

伏線について質問する・説を検証する →

← 動画の解説の一覧へ