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考察

【リゼロ考察】スバルが異世界に召喚された本当の理由|スバルの体に隠された謎

ネタバレ注意:原作第七章までの内容を含みます(アニメ4期奪還編より先の内容を含みます)。
第七章まで読んだ・見たので、本文を開く 本文をたたむ

スバルの体は、スバルのものか

スバルの体は、スバルのものだと思いますか。当たり前だろ、と思いますよね。でも第一章から第七章まで、スバルの体に起きたことを一列に並べると、答えがひとつ浮かびます。なぜ、スバルが異世界に呼ばれたのか。その答えです。今日はその答えを、先に言い切ります。

結論:体は最初から器

結論です。ナツキスバルは、人として呼ばれたのではありません。何かを入れる、うつわとして呼ばれた。

うつわ。ものを入れる、入れ物のことです。そして死に戻りは、そのいれものの副産物です。

うつわ、と言いましたが、これは私の言葉ではありません。原作が、スバルの体をそう呼んでいます。第七章に、この一行があります。

「呪いは、このうつわを死なせまいとする」(七章)

これが、スバルの体のことです。言っているのはキャラクターではなく、地の文。作者の側が、スバルの体をうつわとして書いています。

根拠は第一章から第七章まで、体に起きたこと全部です。順番に並べても頭に残らないので、三つの束にまとめます。入るもの。出るもの。守るもの。

①入るもの(ゲート・ボッコの実・呪い・因子)

まず、入るもの。

第一章、アニメだと1期。パックがスバルのゲートに触れて、こう言います。ゲートというのは、マナの出入り口のことです。「使い込んでる様子がないのに素直」(一章)。使ったことがないのに、最初から通りがいい。

ちなみにこの場面で食べすぎたのは、ボッコの実。第五章、アニメだと3期。フェリスが、同じ実をこう言います。「スバルきゅんの体には特に、もうあれはただの毒でしかにゃい」(五章)。「特に」の理由は、本文に書かれていません。他人には薬になるものが、スバルにだけ毒。スバルの体には、効きすぎる。

次に、第二章。呪術師は全員倒したのに、スバルの体内に呪いの術式が残り続けます。ベアトリスでも外せません。入ったものは、出ていきません。

第五章、アニメだと3期。スバルはクルシュの呪いを、触れるだけで自分の側に引き取れます。フェリスが何度触れても起きない現象です。

ただ、量が合いません。クルシュのほうは、黒い血管が薄まる程度。スバルのほうは、右腕の肘から先が、びっしりと黒いまだらに覆われます。地の文がこう書きます。「引き取る呪いのレートが、1対1どころではない。10対1でも生易しい次元だ」(五章)。わずかに減らすために、10倍以上を背負っている。

そして、引き取ったあと。痛みも疼きも、スバルには何も起きません。10倍以上を抱えて、平気なんです。

そして魔女因子。大罪司教を倒すたびに、スバルの中へ黒いものが滑り込みます。怠惰と、強欲。二つが、スバルの中に入っています。

ゲートは通りがよく、呪いは外れず、他人の呪いまで吸い、因子は溜まる。入り口が、広い。

②出るもの(黒い澱み・魔都の影・97話「多すぎる」)

次に、出るもの。

第七章、スバルは右腕を失います。そこから生えてきたのは、黒いよどみでした。アベルの証言では、手から黒いよどみが溢れて、それが瞬く間に腕の形を取った。黒い部分は引っ掻いたら剥がれて、その下から、新品の右手が出てきます。溜めた黒いもので、なくなった部品を作り直している。しかも、右腕です。第五章で呪いを溜め込んだのも、右腕でした。

そしてもうひとつ。魔都カオスフレームを滅ぼした、黒い影。ヨルナ、オルバルト、アベル。3人が別々に、同じことを言います。「あれはナツキスバルの内より溢れたものだ」(七章)。街をひとつ消した影が、スバルの中から出てきた。

この影が誰のものかは、別の動画で話します。誰のものであれ、スバルの体の内側から出た。それが、今日の話です。

では、なぜその瞬間に溢れたのか。直前の場面に、書いてあります。このときスバルは、オルバルトの術で縮められていました。元に戻すために、オルバルトがみぞおちに触れます。この術は、オドに干渉するものです。オドというのは、魂の本体のようなものです。つまり、中身に外から手を入れた。

その瞬間に、漆黒が溢れました。触れていたオルバルトの右手は、手首から先が消えています。満杯だから溢れたのではありません。中身をいじられたから、出てきた。

そして第七章97話。魔都で影を出したあとの話です。ベアトリスがスバルの手を握って、マナを引き受けます。スバルは体を縮められて、子どもの姿のままです。握った瞬間、ベアトリスがこう呟きます。「多すぎる」、と(七章97話)。

うつわは小さくなっているのに、中身が多すぎる。都市ひとつぶんを外に出して、まだ多すぎる。入り口が広いだけじゃない。出るときは、街ひとつぶんが出る。

③守るもの(「呪いは、この器を死なせまいとする」)

最後に、守るもの。ここが核心です。

冒頭の一文に戻ります。第七章12話。「呪いは、このうつわを死なせまいとする」(七章12話)。

これは、スバルの内側を描いた地の文です。本来なら命を蝕むはずの呪いが、互いに干渉して、奪い合って、この体を死なせない。呪いが、宿主を守っている。

三束のまとめ

入る、出る、守る。この三つの束は、どれも同じ形をしています。

中身より先に、体ができている。

ここまでは、体に起きた物証の話です。

記憶の穴:64話のスバル、76話のルイ

ここから、まったく別の方向から、同じ場所に着地する線をひとつ足します。第六章、奪還編の範囲です。

スバルは、元の世界の記憶を暴食に食われません。ライは異世界出身のせいかと首をひねり、ルイは意味不明と騒ぎ、エキドナも、原因不明と言います。この世界の誰も、理由を説明できていません。

その理由を、まずスバル本人が考えます。64話です。

この世界の記憶は記憶の回廊に保管されます。死んだ人の魂から、人生の記録が削ぎ落とされて、集まる場所です。暴食はそこから記憶を横取りする力。だとしたら異世界から来た人間の記憶は、死んだときに、そこへ刻まれるのか。地の文は、こうです。

「ナツキスバルの記憶とは、仮に死したとしたらこの世界の記憶の回廊に刻まれることはあるのだろうか。あるいは――、」(六章64話)

あるいは、で地の文が切れます。刻まれるのか。あるいは、刻まれないのか。その直後、スバルが口を開きます。

「――それができないから、俺は死に戻りしてるってのか?」(六章64話)

それ、というのは、記憶の回廊に刻まれること。この世界に記録されないから、死んでもやり直せてしまうんじゃないのか、と。

ただしこの推理は、あとで外れます。72話で、スバルは自分の死者の書を見つける。この世界での死は、全部記録されていた。外れたのは、「死が記録されない」のほう。「召喚前が記録されない」のほうは、このあと出てきます。スバルは続きを言って、外れた。覚えておいてください。

そして76話。今度はルイです。ルイはスバルの中に入って、記憶を奪おうとした側です。暴食の権能は本来、生まれた瞬間まで記憶を食い尽くせる。なのにスバルからは、この世界に来てからの1年分しか奪えなかった。ルイはその理由を、こう考えます。

「まるで、オドラグナがそれ以前の記憶を評価していないか、忌み嫌っているか、あるいは――」(六章76話)

ここで、切れます。オドラグナというのは、この世界の魂と記憶が還る、大元のことです。ルイは二つの候補を出して、三つめだけ言わせてもらえない。

気づきましたか。スバルとルイ。別々に、オドラグナとスバルの記憶の話に辿り着いて、どちらも地の文が「あるいは――」で切られている。スバルは続きを言って、外れた。ルイは、続きを言わせてもらえなかった。どちらにしても、正解は本文に出ていません。

器はこの世界製、中身は外から来た

ここから、私の推理です。

オドラグナは、スバルの召喚前を持たない。この世界の記録装置に、中身が、この世界に来る前に生きた分が、載っていない。一方で体のほうは、この世界のマナも呪いも因子も、人並み以上に受け入れる。中身は記録されず、体は、この世界の物として振る舞っている。

つまり、こうです。うつわはこの世界製。中身は、外から来た。

召喚後のスバルは、死まで全部この世界に記録されている。召喚前だけが、ない。線が引かれているのは、召喚の瞬間です。

仕組みがなにかは、前の動画で話しました。今日の話は、その仕組みを積む場所。うつわが先で、死に戻りは後。うつわ理論はここで、体質の話から、製造の話に変わります。

器を作る技術は四章で三回見た

製造、と言いました。うつわを作って中身を入れる技術は、この世界にあるのか。あります。第四章で、3回見ています。

ロズワール。代々の襲名は、魂を子孫の肉体へ移し続けてきた、同一人物でした。これは考察ではありません。第四章129話で、ハッキリ明かされた事実です。

リューズの複製体。同じ肉体をいくつも作り、それぞれに別々の意思が入っていました。

そしてオメガ。複製体のうつわに、エキドナの魂が入りました。

体を用意して、魂を入れる。リゼロの世界は、それを3回実演済みです。

一つの器に二人:左腕の刻みとルイの分裂

そして、うつわが一人用ではない証拠もあります。

第六章44話。記憶を失ったスバルの左腕に、傷で刻まれた文字があります。「ナツキスバル参上」。汚い字で、日本語で、と本文にあります。しかもトメハネに、スバル自身が自覚する癖がある。地の文は、こう断じます。

「つまりこれは、間違いなくスバルとルーツを同じくするナツキスバルの筆跡だ」(六章44話)

50話では、同じ文言が壁一面に刻まれます。

これ、ルイには書けません。ルイが持っているのは、この世界に来てからの1年分だけ。日本語も筆跡も、それより前の蓄積です。書いたのは、召喚前の記憶を持っている側。本文の言葉で言えば、スバルとルーツを同じくする側。ルイが入り込んだせいで表に出てきた、もうひとりのナツキスバル。

61話で、ルイ自身が悔しがっています。

「あと一歩で、完全にナツキスバルとナツキスバルを引き剥がせたのに……!」(六章61話)

引き剥がせる、ということは、ひとつのうつわに、二つ入っている。原作が、それを見せてしまっています。

中に入っているのは記憶だけではない:喝采の一致

中に入っているのは、記憶だけではありません。手掛かりは、さっきの魔都の場面にあります。漆黒が溢れる直前、第七章54話の締めの地の文です。

「――黒い影と化し、あらゆるモノを呑み込み、破壊しながら、喝采する」(七章54話)

喝采。拍手です。呑み込みながら、喜んでいます。

この言葉に、聞き覚えがあります。第五章58話。スバルが、第四章以来はじめて見えざる手を使う場面です。見えざる手はペテルギウスの権能で、倒したときにスバルへ引き継がれた力です。力が戻った瞬間、スバルの中で、スバルのものではない感情が湧きます。

「呼び起こされたことへの喝采。再び力を得たことの喝采。求められ、果たせることの喝采」(五章58話)

同じ言葉です。外に出て都市を滅ぼしたものと、体の中で喜んでいたものが、同じ書かれ方。本文は、さらに続けます。

「この不可解な感情の荒波は、決してスバルだけの問題では片付かない――」(五章58話)

スバルだけの問題ではない。中身は、スバルひとりではない。

なぜただの高校生が選ばれたのか

ここで、コメントでいただいた質問に答えます。なんで、ただの高校生が選ばれたのか。

うつわ理論だと、この質問はひっくり返ります。ただの高校生の体は、他人の呪いを10倍で引き取りません。内側から、都市を滅ぼすものも出てきません。スバルが選ばれて、体が特別になったのではない。

思い出してください。第一章のパックの場面。あれは、スバルが初めて死ぬ前です。死に戻りを一度も使っていない時点で、体はもう、普通ではなかった。

死に戻りで体が変わったのではなく、順番が逆。うつわが先にあって、中身はあとから詰められた。この体だから、スバルは連れてこられた。

だから「なぜ彼が」の答えは、スバルの側にはありません。うつわを作った側にあります。そしてうつわを作った側、死に戻りを与えた側は、第一章から今まで、一度も名指しされていません。

うつわはただの比喩では、という反論には、冒頭で言ったとおり、あの一行はセリフではなく地の文です。誰かの言い回しではなく、作者が書いた言葉です。

整理と「先約済み」

整理します。

  • ゲートも呪いも因子も、入りやすい
  • 影は、街ごと出てくる
  • 呪いが、体を守る
  • この世界の記録は、召喚前のスバルを持たない
  • うつわを作る技術は、第四章で3回見た
  • ひとつのうつわにふたり入れることも、第六章で見た

次に呪いや因子がスバルの中に入る場面で、この動画を思い出してください。

前の動画の最後で、仕組みは血筋かうつわか、と問いました。私の答えは、うつわです。

最後に。あの一文の少し前に、こうあります。

「この命は先約済みだと、誰にも売り渡すまいとする強欲なる呪印」

先約済み。この体は、先に誰かが予約していた。用意されて、選ばれて、予約されている。だから、スバルの召喚は事故じゃない。誰かの、手続きです。

呼ばれたのは、スバルという人間ではなく、何かを入れるための、うつわだった。それが、召喚された理由です。

何を入れるためだったのか。呪いか、因子か、あの影か。誰が、何のために予約したのか。まだ、本文は答えていません。次は、そこです。

原作:長月達平『Re:ゼロから始める異世界生活』(小説家になろう/MF文庫J・KADOKAWA)。 本文中の原作の引用は、考察・批評を目的とした引用です。

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