奪還編の解説
【リゼロ奪還編6話】原作との違いと伏線を全部解説|グッドルーザー
第六章78話まで読んだ・見たので、本文を開く 本文をたたむ
導入
奪還編6話、グッドルーザーの放送直後の解説です。
そして今回、ひとつ大事なことがあります。アニメが、原作の順番をかなり組み替えています。一気に決着まで進んだ戦いと、開幕だけで終わった戦いがある。そこも含めて、順番に見ていきます。
名乗りの直後と布陣
まずは前回のラスト、名乗りの続きから。スバルとエミリアは、その場のライを撃退します。スバルの挑発と、エミリアの蹴りの合わせ技。歯を砕いて吹っ飛ばしますが、逃げられます。
そのまま仲間と合流して、作戦会議になります。スバルは塔の状況を、オセロに例えました。角を四つ取られた盤面だと。その角が、二人の暴食、魔獣の群れ、そして、大サソリと化すシャウラ。
割り振りは、こうなりました。暴食のライに、ラム。剣聖レイドに、ユリウス。魔獣と大サソリに、スバルとベアトリスとメィリィ。そしてエミリアは、角のどれでもなく、一層の攻略へ。塔のルールを書き換える、勝利条件そのものです。
シャウラの変貌
ただ、配置の前に、一番つらい場面があります。バルコニーで魔獣を迎え撃っていたシャウラが、変貌を堪えていました。誰かがルールを破った。だから、変わってしまう。
シャウラはスバルに、自分を殺してほしいと頼みます。ここ、原作には理由が書かれています。シャウラは、自分で自分を殺せません。お師様が、その機能を取り払っていたからです。だから他人の命令でしか、終われない。
スバルの返事ひとつで、終わらせることはできた。でも、スバルは拒否します。死ねなんて言わない。400年をここで終わらせない。それを聞いたシャウラの、最後のひと言。
「お師様……愛してるッス」
直後、シャウラは大サソリに変貌します。その初撃を止めたのが、エミリアの飛び蹴りでした。
砂の戦場
こうして始まった、外の戦い。相手は、大サソリと魔獣の群れ。ただ、勝利条件は倒すことじゃありません。エミリアが一層を攻略するまでの、時間稼ぎです。
その主役になるのが、メィリィです。砂丘中の魔獣を手懐けられる、唯一の存在。そして足になったのが、あの餓馬王でした。地下で殺し合った魔獣が、今度は味方です。3人を乗せて、塔を駆け降りる。
大サソリと向かい合ったところで、今回は終わり。この戦いの中身も、来週です。
ユリウスと契約
ここからが、今回の本体です。二層、ユリウス対レイド。
そして今回、一番わかりにくかったのが、ユリウスと準精霊の、契約の話だと思います。ここ、アニメでは前提の説明がありません。なので、原作の情報で補足します。
ユリウスは喪失編で、暴食に名前を喰われました。名前を喰われると、なにが起きるのか。
ひとつ、誰も彼の名前を呼べなくなる。ふたつ、会っても、存在を覚えていられなくなる。みっつ、準精霊たちとの契約も、宙ぶらりんになる。騎士としての彼を支えていたものが、全部外れた。
だから、結び直すところから始まります。
ユリウスは自分から契約を断ち切ります。宙ぶらりんのままにせず、一度ゼロに戻す。その痛みを受けた上で、改めて求愛しました。「改めて結ぼう。――私と君たちとの、新しい契約を」
6体の準精霊が、もう一度応えます。
そしてこの前に、ユリウスの出自も語られます。実はユリウス、生まれは平民です。貴族の家を出た父と、平民の母の子。両親を亡くして、今の家に引き取られた。だから彼の騎士らしさは、生まれつきじゃない。憧れて、あとから作り上げたものです。本人の言葉なら、永遠に被ると決めたハリボテ。この開き直りが、最優の騎士を完成させました。
そしてこの戦いの最中、ユリウスは思い出します。かつて肩を並べた、ラインハルトのこと。剣を競わないまま、友を遠ざけてしまった日々。そのうえでユリウスは、ひとつ決めます。この戦いが終わって帰ったら、ラインハルトに挑むと。後悔ごと抱えて、前を向いた形です。
ちなみに、この二層をエミリアが通り抜けます。レイドは止められません。エミリアは喪失編で、試験を突破済みだから。本人の申告が、これです。「あなたは、私の胸を箸で触って負けたの!」
そのレイドも、ここで本気を出します。今までの武器は、箸。ここで初めて、床の選定の剣を抜きます。でも、というか、やっぱり、というか。箸のときと、強さが変わらない。
原作のレイドは、その理由をこう言っています。剣が振れるから強いんじゃない。ただオレが強いってだけが理由だ、と。
レイドとの決着
決着は、原作でも屈指の名場面です。虹の極光を纏うユリウスの秘儀と、世界を割るレイドの一閃。ユリウスの剣先が届いたのは、レイドの、眼帯だけでした。その下がどうなっているかは、まだわかりません。
そして勝負がつく前に、器の限界が来ます。レイドがここにいられたのは、暴食のロイの体を乗っ取っていたから。規格外の魂に、借り物の体が耐えられなかった。ひび割れて消えていくレイドの捨てゼリフが、そのまま今回のサブタイトルです。
「――オレの勝ち逃げだぜ、ユリウス」
負けを認めた上で、勝ち逃げを宣言して、笑って消える。グッドルーザー、良き敗者です。
そして戦いの前、レイドは逆の道を勧めています。「――オメエは、殻破った方が強くなれたぜ?」
殻を破る道と、殻を被り続ける道。ユリウスはあえて後者で、勝負に出ました。
もうひとつ、アニメでは触れられなかった話を。レイドが何度か口にしてきた、子分の話です。面がよくて、理屈がうるさい女性だと語られます。誰のことかは、まだ明かされていません。
エキドナとアナスタシア
そして、今回のもうひとつの疑問。エキドナの回想だと思います。
あの体は、アナスタシアのものです。でも、表に出ていたのはエキドナ。じゃあ、アナスタシア本人はどこにいたのか。
答えは、自分のオドの中です。オドは、外からの干渉を受けない固有の世界。暴食の権能も、そこまでは届きません。逆に言うと、外に出れば影響を受ける。忘れたくないものを、忘れさせられる。
つまり、外に出た瞬間、ユリウスを忘れてしまう。
だからアナは、自分から閉じこもっていました。
それを知った上で、エキドナは呼び戻します。忘れさせるとわかっていて、それでも出すと決めた。2ヶ月、アナの真似をしてきたけれど、潮時だと。忘れても、自分が教えてやれるから、と。人工精霊の自分の役目を、こう言っています。大切な少女と、大切な騎士の、橋渡し。
「――君の騎士の一番カッコいいところを見ないなんて、そんなもったいない真似、ケチな君らしくないじゃないか」
目を覚ましたのは、アナスタシア。ただ、ここが今回いちばん切ない場面でした。アナは、ユリウスを覚えていません。さっきの通り、外に出た代償です。だから第一声が、これです。「ウチは、アナスタシアホーシン。えらいカッコいいお兄さん、お名前は?」
初対面として、名前を聞かれる。それを受けて、ユリウスは跪きます。「私はユリウスユークリウス。――あなたの、一の騎士」
5話のスバルと、同じ形です。エミリアたんの、一の騎士。
そして、忘れられたままのアナが返した言葉。
「一目見て、思うたんよ。――このお兄さん、ウチのもんにせなあかんて」
記憶がなくても、同じ人を選ぶ。ここが今回の、いちばんの見どころでした。
7話へ残されたふたつ
一方で、開幕だけで終わった戦いがふたつ。
ひとつは、ラム対ライ。レムを眠り姫にした張本人と、その姉の戦いです。ラムの宣戦布告が、これ以上なく冷たい。豚のように鳴きながら死になさい、と。ただ、ラムは角を失っています。本来の力を出せない体で、暴食と向き合う。どうやって戦うのかは、来週です。
もうひとつが、エミリア対ボルカニカ。400年前に嫉妬の魔女を封じた、三英傑のひとり。つまりこの塔、三層が賢者、二層が剣聖、一層が神龍。三英傑が全員、試験の試験官だったわけです。
エミリアを迎えた第一声が、この口上でした。「――我、ボルカニカ。古の盟約により、頂へ至る者の志を問わん」
志を問う、と言っています。つまり一層も、戦って勝つ場所とは限らない。この神龍がどう出るかは、来週です。
このふたつの戦いが、7話の中身になります。ユリウスの契約は結び直され、アナスタシアは戻ってきました。残りはあと2話。最終回に向けて、塔の物語は締めに入ります。
原作:長月達平『Re:ゼロから始める異世界生活』(小説家になろう/MF文庫J・KADOKAWA)。 本文中の原作の引用は、考察・批評を目的とした引用です。